snug

坂に面した三角形の敷地に建つ住まいは、直角三角形プラン。この面は斜辺に当ります。

1階から階段を上がるとキッチンとダイニングに出ます。

折り返して、さらに上がってリビングルームがあります。

snug
━━ a. (-gg-) (暖かくて)気持ちがよい; 快適な; きちんとした, こぢんまりした; (衣服が)ぴったり合う; きつすぎる; (収入が)相当な; 隠れた.
・(as) snug as a bug in a rug 非常に居心地よく.
━━ n. 〔英〕 (パブなどの)小個室.
━━ ad. =snugly.
(「EXCEED英和辞典 」より)

施主様の想いから始まった、淡路島の三角形の家

始まりは、一本のお電話から一年以上が過ぎた頃の、突然の再会でした。若い施主様が熱い想いと共に探し出してこられたのは、淡路島の郊外に佇む三角形の変形地。
このプロジェクトは、施主様の「好き」を詰め込んだ注文住宅を、二人三脚で創り上げていくプロセスそのものでした。

変形地という個性を魅力に変える

まるで小学生の頃に使った三角定規がぴったり収まるかのような、素直な形の土地。このユニークな個性を制約としてではなく、むしろ魅力と捉えました。デザイン住宅として、三角形のプランをそのまま空間の魅力へとなる設計を目指しました。

敷地が持つ約1mの高低差は、スキップフロアを取り入れることで、狭小地ながらも立体的で視線が抜ける広がりを生み出しています。

スキップフロアが生む、遊び心あふれる豊かな空間

スキップフロアによって生まれた変化のある空間には、ご主人の音楽室といった趣味の部屋も確保し、暮らしの機能性と遊び心を両立させました。

鋭角のコーナーには大きな窓を設け、光が降り注ぐ心地よい日だまりができる場所に。ここは自然と家族の笑顔が集まる、この家の特別な空間となりました。素材には木やガルバリウム鋼板の質感を活かし、シンプルで温かみのある木の家の雰囲気を大切にしています。

家族の笑顔が集まる「snug」な暮らしの風景

完成後、かわいらしい小物たちが彩る空間で、小さなお嬢様とお友達が毎日元気に遊んでいると伺い、設計者としてこれ以上の喜びはありません。

この住まいを「snug(スナグ)」と名付けました。「暖かくて快適な、こぢんまりした」という意味を持つこの言葉が、私たちが目指した理想の暮らし、そしてご家族の日常そのものを表していると確信しています。

坂の下から見た外観

玄関横にある趣味の部屋。一角には録音用のブースも設えました。

坂の上から見た外観。南西になります。

駐車スペースからの外観。
バルコニーは南におおよそ正対しています。

玄関を入ったところです。
奥に見える下側が寝室、上側がダイニングとキッチンになります。

玄関を折り返し、奥に見えるのが浴室。
階段を背中にて手洗コーナーがあり、その右手にはトイレがあります。

階段を見下ろした様子

キッチンスペース。
色とりどりのタイルは、サンプルを集めて貼りました。メーカーさん、スミマセン。

一段上がったリビングルームの様子。

リビングルーム横には、小さなこども室。

1階寝室の様子。

FRPをそのまま仕上にしたバスルーム。
標準色の仕上で、水槽のよう。

夜になると、三角先端の窓から屋根の梁組と尖った軒先が象徴的に見えます。

坂上からの建物全体の夜景。

Photo:絹巻豊

建築概要

【 敷地概要 】 ・場所/兵庫県洲本市 ・敷地面積/82.46 ㎡ ・用途地域/都市計画区域内(区域区分非設定) 建蔽率70%・容積率366% 第1種高度地域(5M+1.25/1<12M) 防火指定無し(法22条地域) ・前面道路幅員:(西)6.1 m
【 工事概要 】 ・工事種別/新築 ・建築面積/38.31 ㎡ ・延べ床面積/73.59 ㎡(住宅の部分:同じ) ・構造規模/木造 地上2階 ・最高の高さ/6.60 m(平均地盤面より) ・構造仕様/木造軸組工法 ・基礎仕様/鉄筋コンクリート造ベタ基礎
【 主な外部仕上 】・屋根/カラーガルバリウム立てハゼ葺き ・外壁/無塗装ガルバリウム鋼板波板張り
【 主な内部仕上 】・床/構造用合板木材保護着色 ・壁/シナベニヤ・防カビ塗料 ・天井/構造材現し防カビ塗料・構造用合板木材保護着色剤
【 設計/施工 】 ・設計/庄司洋建築設計事務所(担当:庄司洋) ・施工/南実業(担当:南芳治)

完成:2004(h16)年9月


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掲載等

「PLAS 1 LiVING」no.41・2006年2月号
「月刊ハウジング」no.265・2006年8月号


「すまいの感想」

 今思い起こせばこの土地に家を建てることが可能なのか?不安でした。自分が選んできたのに無責任な話ですよね。でも、庄司さんの「大丈夫です」と言ってくれた時に不安な部分というのがなくなりました。

 建て始めてからは大工さんには迷惑な話でしょうが毎日観に行くのが日課になってました。仕事をしているときも、嫁さんとの会話も、寝ても、覚めても『snug』のことばかりでした。

 一年経った今でも予想以上に満足した家が出来てワクワク感がいまだに止まりません。
家の中でどの空間にいても上を見たり左右を見回したり思わず微笑んでしまいます。
 本当にありがとうございました。
 一生の宝物です。これからも『snug』と一緒に思い出をたくさん育んで行きたいと思います。

( 20051007 施主様より )